九条の会さいたま賛同人の方のメッセージ
ここでは九条の会さいたま結成集会に参加できなかった賛同人の方のメッセージをご紹介いたします。皆様の幅広い支援とご理解がいただければ幸いです。
高橋哲哉さんのメッセージ
一点の灯
この国の「地金」が剥きだしになってきた。
まるで、戦後民主主義と平和主義の全ては、この「血金」を暫時隠していたメッキにすぎなかった、とでもいうかのように。
半世紀前までこの国は、侵略戦争を繰り返し、植民地支配による他民族差別、自国内での階級差別、女性差別などによって「帝国」を維持していた。近代日本国家は、戦争と差別を通して作り上げられたのだ。
1945年の敗戦は、民主主義と平和主義の憲法をもたらしたけれども、この国の「地金」に本質的変化はなかったのであろう。
いま、再び、戦争と差別の時代がやって来ようとしている。戦争肯定と差別の居直る言説が解禁され、むしろ「普通の人々」の喝采を浴びている。国策に抗う少数者は、権力による弾圧だけでなく、市民社会からの攻撃と排除の脅威にさらされている。
困ったことに、この時代の真実を伝えるべきマスメディアは、すでに戦争と差別の時代
に棹差している。
掛け値なしの危機の時代。問われるべきは広義の「知」と「文化」に関わる者の責任である。
この間、人文・社会学では、国家や資本や文化の暴力を解析する先鋭な理論が練り上げられてきた。しかし、汗牛充棟の研究書や論文は、この時代への抵抗の武器としてどれほどの役割を果たしえているのだろうか。
「知識人の使命」といったアナクロニックな幻想を掻きたてようというものではない。国家批判の「知」が意味をもつ唯一の場面に介入できないならば、そもそも何のための「知」であったのか、空しさが募るばかりではないか。
私たちも、みずからの非力さは充分承知している。時代の大勢が音を立ててある方向に流れていくとき、思想や芸術だけでそれを押しととめられるわけではないことも、歴史を見れば明らかである。にもかかわらず、いま、ここで、何もせずに敗北するわけにはいかない。戦争と差別の時代を許せば、私たちの敗北である。
しかし、抵抗せずに敗北するよりは抵抗して敗北する方がずっといい。
はてしない四方は暗黒にとざされているが
天空には星の群れが輝いている
雪にうつすには余りにも遠い弱い光だが
喜ばしいことに書物を照らす一点の灯がある
―郭沫若
私たちはあきらめない。どんな「暗い時代」にも、暗闇に抗して思考し、言葉を紡ぎ、闇に紛れた他者たちに向けて声を発した人たちがいた。そうした思考、言葉、声に勇気づけられ、私たちも思考し、言葉を紡ぎ、声を発していきたい。
(季刊「前夜」創刊号より転載)
中山福二さんのメッセージ
どうしたら九条の改正を阻止できるか
私は憲法改正に反対です。公布から今年の11月で58年ですから、足りないところやもう少しハッキリさせた方がいいところなどはありますが、小泉さんを含め、改正に熱心な人達の一番のねらいが九条を変えることにあるからです。他のことは九条を変えるための付け足しにすぎません。いまでも、イラクに自衛隊を派遣するなど「後方支援」の名目で「自衛」とはとても言えない戦闘に参加できるようにしていますが、九条の改正により、「屁理屈」抜きで日本を戦争のできる国にしようとしていることは明らかです。
憲法は最高法規ですが、他方で憲法の非軍事平和の思想と正反対の日米安保条約が厳然と存在します。全国に散らばる米軍基地の「法的」根拠となるものです。安保条約の前文には「(日米)両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認」すると明記されています。憲法上は大議論になっており、今回の改正の狙いでもある集団的自衛権の存否は、安保条約ではこれが当然の前提となっています。8月に米軍のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落した事件がありました。事故の処理に際し、米軍は現場を封鎖し、日本の警察と消防による現場検証を拒否しました。同じ敗戦国でもドイツでは考えられないことです。
こうした状況のなかで憲法の理念に立脚した非軍事平和の日本をどうしたら作っていけるのか。自衛隊をどうしたら縮小できるのか。アメリカの戦争に協力するよりは平和的な活動を地道に積み重ねることによって国際的な信頼を勝ち取り、自衛隊の役割を少なくなくしていくしかありません。そのための具体的な行動計画を立て、その実行具合を毎年検証していくというシステム(新しい法制度)が必要です。これを実現させるためには平和を求める世論を糾合しなければなりません。それが憲法九条を変えさせないための私の対案です。(『日本国憲法改正問題「私の意見」集』埼玉弁護士会2004年12月発行より転載)
大田堯さんのメッセージ
九条は、厳しい戦争体験の反省の上にたった世界への日本の誓いです。憲法の中核である基本的人権に根ざす平和の実現こそが私の悲願です。
肥田舜太郎さんのメッセージ
憲法を守る『九条の会』の運動は今、一番大切な運動です。新年になってから名古屋、前橋、保谷など各地の平和の集会に話しに行きましたが、どこでも限られた人たちばかりの集まりで、一般大衆の参加があまり見られません。或る集会で初老の男性から「憲法を守る側と変えようという側の真ん中に沢山の人たちがいる。変えようという側の声は聞こえるが、守ろうという側の声は殆ど聞こえないし、聞こえても難しくて」よく分からない。何とかならないのか」という発言がありました。一瞬、会場がシーンとなりました。国民は一見、平気な顔をしているように見えますが、みんな『これからどうやって生きていくのか』と生活の不安を抱いて悩んでいます。その不安に焦点のあった『九条の会』の運動にするために、私たちも深刻に運動を工夫しなければならないのではないでしょうか。
以上が賛同人の方々のメッセージです。『九条の会・さいたま』はまだまだ発展途上です。皆様の暖かいご支援の元多くの仲間を結集できるような場やイベントなど賛同人の方を中心に進めて参ります。
皆様もどうぞ『九条の会・さいたま』にご意見をお寄せ下さい。
「
九条の会・さいたま」事務局・連絡先
〒330-0061 さいたま市浦和区常磐3-18-20-802
北浦和デスク
TEL 048-834-1298
FAX 048-833-8305
ML(メーリングリスト)9j-s-ml@list.jca.apc.org
高橋哲哉さんのメッセージ
一点の灯
この国の「地金」が剥きだしになってきた。
まるで、戦後民主主義と平和主義の全ては、この「血金」を暫時隠していたメッキにすぎなかった、とでもいうかのように。
半世紀前までこの国は、侵略戦争を繰り返し、植民地支配による他民族差別、自国内での階級差別、女性差別などによって「帝国」を維持していた。近代日本国家は、戦争と差別を通して作り上げられたのだ。
1945年の敗戦は、民主主義と平和主義の憲法をもたらしたけれども、この国の「地金」に本質的変化はなかったのであろう。
いま、再び、戦争と差別の時代がやって来ようとしている。戦争肯定と差別の居直る言説が解禁され、むしろ「普通の人々」の喝采を浴びている。国策に抗う少数者は、権力による弾圧だけでなく、市民社会からの攻撃と排除の脅威にさらされている。
困ったことに、この時代の真実を伝えるべきマスメディアは、すでに戦争と差別の時代
に棹差している。
掛け値なしの危機の時代。問われるべきは広義の「知」と「文化」に関わる者の責任である。
この間、人文・社会学では、国家や資本や文化の暴力を解析する先鋭な理論が練り上げられてきた。しかし、汗牛充棟の研究書や論文は、この時代への抵抗の武器としてどれほどの役割を果たしえているのだろうか。
「知識人の使命」といったアナクロニックな幻想を掻きたてようというものではない。国家批判の「知」が意味をもつ唯一の場面に介入できないならば、そもそも何のための「知」であったのか、空しさが募るばかりではないか。
私たちも、みずからの非力さは充分承知している。時代の大勢が音を立ててある方向に流れていくとき、思想や芸術だけでそれを押しととめられるわけではないことも、歴史を見れば明らかである。にもかかわらず、いま、ここで、何もせずに敗北するわけにはいかない。戦争と差別の時代を許せば、私たちの敗北である。
しかし、抵抗せずに敗北するよりは抵抗して敗北する方がずっといい。
はてしない四方は暗黒にとざされているが
天空には星の群れが輝いている
雪にうつすには余りにも遠い弱い光だが
喜ばしいことに書物を照らす一点の灯がある
―郭沫若
私たちはあきらめない。どんな「暗い時代」にも、暗闇に抗して思考し、言葉を紡ぎ、闇に紛れた他者たちに向けて声を発した人たちがいた。そうした思考、言葉、声に勇気づけられ、私たちも思考し、言葉を紡ぎ、声を発していきたい。
(季刊「前夜」創刊号より転載)
中山福二さんのメッセージ
どうしたら九条の改正を阻止できるか
私は憲法改正に反対です。公布から今年の11月で58年ですから、足りないところやもう少しハッキリさせた方がいいところなどはありますが、小泉さんを含め、改正に熱心な人達の一番のねらいが九条を変えることにあるからです。他のことは九条を変えるための付け足しにすぎません。いまでも、イラクに自衛隊を派遣するなど「後方支援」の名目で「自衛」とはとても言えない戦闘に参加できるようにしていますが、九条の改正により、「屁理屈」抜きで日本を戦争のできる国にしようとしていることは明らかです。
憲法は最高法規ですが、他方で憲法の非軍事平和の思想と正反対の日米安保条約が厳然と存在します。全国に散らばる米軍基地の「法的」根拠となるものです。安保条約の前文には「(日米)両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認」すると明記されています。憲法上は大議論になっており、今回の改正の狙いでもある集団的自衛権の存否は、安保条約ではこれが当然の前提となっています。8月に米軍のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落した事件がありました。事故の処理に際し、米軍は現場を封鎖し、日本の警察と消防による現場検証を拒否しました。同じ敗戦国でもドイツでは考えられないことです。
こうした状況のなかで憲法の理念に立脚した非軍事平和の日本をどうしたら作っていけるのか。自衛隊をどうしたら縮小できるのか。アメリカの戦争に協力するよりは平和的な活動を地道に積み重ねることによって国際的な信頼を勝ち取り、自衛隊の役割を少なくなくしていくしかありません。そのための具体的な行動計画を立て、その実行具合を毎年検証していくというシステム(新しい法制度)が必要です。これを実現させるためには平和を求める世論を糾合しなければなりません。それが憲法九条を変えさせないための私の対案です。(『日本国憲法改正問題「私の意見」集』埼玉弁護士会2004年12月発行より転載)
大田堯さんのメッセージ
九条は、厳しい戦争体験の反省の上にたった世界への日本の誓いです。憲法の中核である基本的人権に根ざす平和の実現こそが私の悲願です。
肥田舜太郎さんのメッセージ
憲法を守る『九条の会』の運動は今、一番大切な運動です。新年になってから名古屋、前橋、保谷など各地の平和の集会に話しに行きましたが、どこでも限られた人たちばかりの集まりで、一般大衆の参加があまり見られません。或る集会で初老の男性から「憲法を守る側と変えようという側の真ん中に沢山の人たちがいる。変えようという側の声は聞こえるが、守ろうという側の声は殆ど聞こえないし、聞こえても難しくて」よく分からない。何とかならないのか」という発言がありました。一瞬、会場がシーンとなりました。国民は一見、平気な顔をしているように見えますが、みんな『これからどうやって生きていくのか』と生活の不安を抱いて悩んでいます。その不安に焦点のあった『九条の会』の運動にするために、私たちも深刻に運動を工夫しなければならないのではないでしょうか。
以上が賛同人の方々のメッセージです。『九条の会・さいたま』はまだまだ発展途上です。皆様の暖かいご支援の元多くの仲間を結集できるような場やイベントなど賛同人の方を中心に進めて参ります。
皆様もどうぞ『九条の会・さいたま』にご意見をお寄せ下さい。
「
九条の会・さいたま」事務局・連絡先
〒330-0061 さいたま市浦和区常磐3-18-20-802
北浦和デスク
TEL 048-834-1298
FAX 048-833-8305
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